今年も残すところあと1ヶ月となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。12月と言えば、山梨県は12月1日から最低賃金が変わりましたね。今回の上げ幅は過去最高クラスで、山梨県の最低賃金も1,052円と、ついに1,000円の大台に達しました。私が学生時代にアルバイトをしていた頃は最低賃金が600円台だったので、現在のような金額になっていることに驚いてしまいます。
厚生労働省の調査によれば、日本の非正規雇用労働者は全体の約4割、前年比2万人増と増加傾向が続いています。そのうち最低賃金に近い時給で働いている労働者の割合も増加していることから、この約4割の人々の生活底上げのため国は最低賃金引き上げを後押しせざるを得ない状況です。しかし、急速な引き上げは中小企業に大きな負担を与える可能性があり、中小企業診断士としてはあまりエンジンを吹かさないでもらいたいというのが本音ですかね・・・。
最低賃金というと非正規雇用労働者の時給に注目が集まりがちですが、実は正社員でも“最低賃金割れ”が発生する可能性があります。主な原因は、給与の総支給額と最低賃金の計算基準が一致していないことにあります。月給制の場合、最低賃金の対象となるのは《基本給+職務手当など恒常的に支払われる手当》であり、通勤手当や残業代など一時的な手当は含まれません。そのため、総支給額が多く見えても、換算した時間額が基準を下回るケースがあります。
また、固定残業代を含む給与体系にも注意が必要です。固定残業代は所定労働時間外の労働に対する支給であるため、最低賃金の算定対象には含まれません。したがって、基本給部分や割増賃金を含めて最低賃金を下回っていないか確認が必要です。
さらに、出来高制・歩合給制を採用する企業では、売上が低下する時期に出来高部分が減り、結果として最低賃金を割り込む場合があります。最低賃金割れが判明した場合、行政指導による是正勧告や未払い賃金の支払いを求められる可能性があります。こうしたリスクを防ぐためにも、給与体系ごとに最低賃金への適合状況を定期的に確認するようにしていきましょう。最低賃金に関してお困りの際は、いつでもご相談ください。
最後になりましたが、本年も大変お世話になりました。皆様の2026年が輝かしい1年になりますようお祈り申し上げます。
https://www.mhlw.go.jp/content/001234734.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43899.html
