今回は、今年1月に改正された行政書士法についてお話ししたいと思います。今回の改正の目的は、行政書士の正当性を担保するとともに、無資格者による不適切な介入を徹底して排除することにありました。近年、建設業許可やビザ申請などの入管業務、持続化給付金などの助成金申請において、行政書士資格を持たないコンサルタントやブローカーが暗躍するケースが増え、コロナ禍における給付金申請や、複雑化する外国人材の受け入れ手続きにおいて、不適切な代行による不正受給や書類の偽造が多発しました。無資格者は行政書士会の監督下にないため、不祥事を起こしても「登録抹消」などの懲戒処分が下せません。法改正により罰則や禁止事項を明確にすることで、こうした「やり逃げ」を防ぎ、国民の権利を保護する必要がありました。
今回の改正で事務所の運営に影響があるのは第19条の1と第21条、第23条の3です。第19条の1では次のような文言が追記されました。「行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行う事はできない。」つまり、行政書士の資格を有していない者が報酬を得て公的機関へ提出する書類の作成を代行してはいけない、という内容です。これまでは密かに書類作成の代行を請け負い「受け取っているのは相談料であり書類作成の対価ではない」などの理屈で規制の網をすり抜けることも可能でした。しかし今年からは、実態として書類作成の労務に対する対価が含まれていると判断されれば、帳簿上の名目に関わらず一律に罰則を受けることになります。「入会金」「会費」などの名目であっても実質的に対価を得ていると見なされますので注意しなければいけません。またこの19条の1の規程に違反した者は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する(第21条)」「法人又は人に対して同条の刑を科する(23条の3)」と明記されていますので、代行業務を請け負った企業、さらに実際に代行業務を行った従業員の両者が刑事罰を受けることになります。
今回の改正の影響を受ける業種としては、建設業許可の更新や経営事項審査、宅建業の免許更新などを代行していた建設業者、特定技能などの在留資格申請書類を作成している人材派遣会社、車庫証明や登録代行、特殊車両の通行許可や運送業の許可申請などを代行している自動車販売店などが考えられます。刑事罰を受けるということは、単なる金銭的な損失に止まらず、社会的信用の失墜やライセンスの取消、入札参加資格の取消、補助金申請できなくなるなどの多大な損失を被る事を意味します。もしこれらの代行業務を今でも請け負っている事業者様がいましたら、早急に対応をお願いします。例えばテンプレートを提示して書類の作成を「サポート」するだけであれば違法とはなりませんし、会社はあくまで窓口となり行政書士に書類作成を委託するという方法もあります。私も行政書士資格を持っていますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
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