たまには芸術の話を

ようやく残暑も終わり秋の気配を感じるようになりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 秋と言えば、芸術の秋ですね。実は先日、仕事の関係で西桂織物工業協同組合の皆さんとお話させて頂く機会がありました。私は芸術とは縁遠い世界で生きておりますが、職人の皆さんが西桂町の文化を継承するために熱心に活動されていることを知り、大変感銘を受けたところです。文化継承者というと作り手である職人さんを連想してしまいますが、織物を使う人もまた継承者であるという視点は、素人の私には大変な驚きでした。

古くは奈良時代に朝廷に献上されていた西桂町の織物。江戸時代には地位や教養のある人々が袴地を買い求めたと言います。私は日本史好きなのですが、考えてみると茶道具に目がなかった織田信長や芸術に傾倒しすぎて室町幕府の財政を破綻させた足利義政などは芸術を享受することで文化を支えていましたよね。使う人がいて文化が完成するという発想は私にはなかったので、大変勉強になりました。

私は数年前から西桂町にある槙田商店の傘を愛用しています。芸術に興味がない私ですが、傘が壊れたタイミングとふるさと納税のタイミングが合い、返礼品をもらい使わせてもらっています。実際に使ってみると、とても快適です。光の当たり具合で多彩な表情を見せてくれる生地も良いですし、骨組みも程よい軽さがあり使いやすいです。私は正直、芸術というものがさっぱり理解できません。ですが、絵画などと違い、工芸品なら私のような者でも良さを実感できる。工芸品は万人に開かれた芸術なのかもしれませんね。もちろん私は信長のような資金力のあるパトロンではないわけですが、文化継承者の末席に加えてもらったつもりで、傘を長く愛用していくつもりです。

西桂町織物工業協同組合の皆さんは、教育委員会の協力も得ながら学校向けの卒業証書カバーを作成しています。単に既存の生地をカバーに仕立てるのではなく、熊に見える富士山の雪形、みんなが大好きな駄菓子屋の「とうどうさん」など、各校の子どもたちからヒアリングして、思い出が反映されるデザインを1から作り上げることで、子供たちに織物の良さを伝え、故郷への誇りを醸成する活動を行っています。この話は西桂町という限定された地域の話と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、織物は日本の文化。県内外を問わず、どの地域でも同じような活動は可能です。ご興味を持たれた方は、ぜひ西桂町織物工業協同組合さんにご連絡ください。

西桂織物工業協同組合
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