今回は年金改革についてお話ししたいと思います。今年は5年に1度行われる年金改革の年です。今回の改正は、年金財政の安定化という本来の目的に加え、人手不足への対応に重点が置かれていることが特徴です。そしてその特徴を表すものとして「在職老齢年金制度」の見直しに注目が集まっています。現在は65歳の労働者のうち厚生年金の給付額と賃金の合計が月額50万円を超える場合は厚生年金の受給額が減額される仕組みですが、年金受取額の減額が高齢者の働く意欲を削ぎ人手不足を深刻化させるとの考えから、年金を減額する基準額を月62万円まで引き上げる方針です。法案が通過すれば約20万人の高齢者が減額されずに働けるようになるため、人手不足を補うと期待されています。
今回の改革案には年収が798万円以上(賞与を除く)の会社員が納める厚生年金保険料を2027年9月より引き上げる内容が盛り込まれていますので、現役世代の負担を増やしてでも労働力人口を増やす必要があるということになります。コロナ禍前より労働力人口の減少が問題となっており、ここ数年は高齢者と女性の社会進出により補ってきたところがありました。それでもなお不足する労働力を補おうという意図は理解できなくもないですが、現役世代に負担を強いることになることから批判が噴出する可能性もあります。今後の審議に注目です。
そしてここが重要なところですが、今回の年金改革法案にはパート社員の厚生年金への加入拡大が示されています。パートなどで働く人が厚生年金に加入できる企業規模の要件について、2027年10月に36人以上に広げ、2029年10月に21人以上、2032年10月には全てに企業を対象とする方針です。また今回の改革案では人手不足対策として、50人以下の企業であれば、働くパート社員の保険料を企業が負担することも可能になります。求職者が保険料を負担してくれる企業に流れる現象も起こると考えると、採用についても不安が残りますね。社会保険の影響を最小限に留めるため、将来に向けた対策を講じていきましょう。社会保障制度についてお困りの場合はいつでもご相談ください。