いよいよ新しい年が始まりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今年は午年ですね。特に今年は60年に1度巡ってくる特別な年「丙午(ひのえうま)」。火の性質を併せ持つ丙と馬が重なる丙午は、エネルギッシュに逆境を乗り越える力や新しい発展を生み出す力があると考えられています。先行きの不透明さが一段と増している状況ですが、丙午の象徴する力強い機運を追い風に、山梨の経済が一層発展していくことを心から願っています。私も皆様のお力になれるよう、全力でサポートさせていただきますね。
さて、今回は大手経験者の中途採用についてお話しさせて頂きたいと思います。昨年秋頃より、大手企業における人員削減に関する報道が増加しています。AIの普及に伴い大手企業が生産性向上を目的として組織の新陳代謝を高めていることが背景にありますが、その結果、本来であれば大企業に在籍していたであろう優秀な人材が労働市場に流入する状況が生まれつつあります。中小企業にとっては、高度人材を獲得する好機ともいえるため、今後は中途採用に積極的に取り組む企業が増加すると予想されます。
大手企業経験者の応募があれば、浮き足立ってしまうこともあるかも知れません。もちろん、大企業に採用される人材であれば、業務遂行能力や人柄において一定の水準を満たしている可能性が高いと考えるのは当然です。しかしながら、その場合であっても採用後に何らかの問題が生じるリスクはゼロではありません。期待したパフォーマンスを発揮できないにも関わらず福利厚生等への不満から権利意識だけが過度に強まり対応に苦慮する事例や、「このやり方は非効率です」などと正論を振りかざした結果、職場で良好な関係を構築できず問題社員化する事例もあるそうです。
労働裁判に詳しい島田直行弁護士によると、中途採用における相談で最も多いのは「期待したほど実績を出せないのに年収が高い」ことだそうです。多くの企業では、中途採用者の給与を前職年収を基準に設定する傾向があります。しかし、大手企業で成果を上げていたとしても、予算に違いのある中小企業において同様の結果を出せるかどうかは不確実です。また、本人が「プロジェクトの一員だった」と説明していても、実際には軽く関わっていただけかも知れません。それにも関わらず期待が先行し、自社の賃金体系とかけ離れた高い給与を提示してしまうと、後にミスマッチが生じ、採用側が後悔することになってしまいます。
このような状況に陥らないためにできることは、契約の時点で人件費に調整できる余地を残すことだそうです。例えば契約書に「新規顧客を1年後までに10件開拓することを目標値とする。これに達しない場合は翌年以降の賃金について減額も含め改めて協議する。」などの文言を入れるのです。期待値を数字で示しコンセンサスを得ておくことで、実績に応じた年収の修正が提案しやすくなります。中途採用についてお困りの際は、いつでもご連絡ください。今年も皆様のために全力を尽くします。
参考文献:『社労士のための労働事件 思考の展開図』(島田直之著、日本法令、2023)
