AIの普及は想像以上に早く、人間の仕事が完全にAIに代替される未来が遠からずやって来そうですね。AIに代替されることについて懸念されることの1つが、若手が一人前になるまでに必要な「修行の機会」が失われることです。少子化が進む日本において、AIによる省人化は計り知れない恩恵をもたらしてくれています。しかし一方で、企業にとっては従来からの教育方法が使えないという新たな課題が浮上しています。
かつて若手が当たり前に担ってきた議事録作成、資料作成の補助、データ整理といった泥臭いタスクは、実務の感覚や自社の文脈を身体で覚える貴重な場でもありました。しかし、現在それらはAIに代替され、現場から消えつつあります。実務を通した育成の機会が減った結果、最近では「外部の教育機関でかつての泥臭いタスクに近い経験を積ませるしかないのではないか」という議論が出るほど、現場での従業員教育は難しさを増しています。
そして業務スピードが向上する一方、AIの活用によって思考力が落ちるという指摘もなされています。自分で考える前にAIに頼ってしまうことで、本質的な思考力や批判的思考(クリティカル・シンキング)を養う機会が損なわれやすくなるというのです。AIを使うことで思考力が落ちているにも関わらず、表面的には完成度の高い成果物が出来上がるため、「仕事ができるようになった」と誤った自己評価をしてしまう。これを「シュード・スキリング(説明深度の錯覚)」と言うそうですが、AIの使用を業務で推奨した結果、「AIなしでは何もできないが、自信満々に仕事をする」層が組織に堆積する、なんて可能性も…。考えただけでも恐ろしいですね。
このような時代において、私たちはどのように若手を育成していくべきでしょうか。パーソル総合研究所の報告によると①サービスや商品が届いている「現場」を見る、②仕事について誰かと対面で本気の議論をする、③顧客や同僚から直接感謝される、といった身体的・対人的な経験を積むことが、物事を多角的に捉える「立体思考」や、自発的な挑戦への衝動(アニマル・スピリット)、深い洞察力を養う鍵となるそうです。また、他部署や社外の関わりを積極的に増やし、仲間とともに試行錯誤できる環境を整えることも効果が確認されているということです。
AI時代における経営者の役割は、AIの利便性を理解しつつ、人間の強みを高めていくことにあります。安易な効率化によって組織のポテンシャルが空洞化しないよう、人間の強みを育む体験を取り入れながら、本格的なAI時代に備えていきましょう。従業員教育についてお困りの際は、ご相談お待ちしております。
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