晴れやかな秋空が広がる季節となりましたが、お元気でお過ごしでしょうか。私は月に数回、山間部にある会社さんを訪問しています。先月末に訪問した際にペットボトルのお茶を出していただいたのですが、蓋にHOTという表記がある温かいお茶に季節の変化を感じました。気温が急激に変化する季節ですので、風邪を引かないよう気をつけていきたいです。
さて、今回は最近気になっている言葉「相対的剥奪」についてお話ししたいと思います。簡単に説明すると、自分と同じような立場の人が持っているものや、社会の中で「普通はこれくらいある」とされる生活水準と比べて、自身の現状が劣っていると感じ不満や怒りを感じることを言います。相対的剥奪感を持っている層としてよく例に挙げられているのはトランプ支持の白人男性です。これまで白人の男性であれば当たり前に享受できていた特権を奪われたように感じ、怒りや不満が収まらない。その気持ちを受け止めてくれる存在としてトランプ大統領が熱狂的に支持されていると考えられています。
社会の変化に伴う怒りや不満への対応は、中小企業にとっても大きな課題となっています。たとえば、大企業の賃上げ率と比較してモチベーションが低下する、親世代が当たり前に貰っていた手当がなく転職した方がよいのではと不安になる、女性が管理職に配置されるようになったことが男性である自身の昇進の機会を奪っていると感じる、育休社員のフォローで負担が増し軋轢が生まれる、などが挙げられます。このように、企業が現状の経営環境の中で可能な限り良い条件を提示していても、社会制度や価値観の変化により従業員の不満が高まり、雇用や組織運営に影響を及ぼすことがあります。
不満が噴出する現代において企業にできることのひとつに、不満から課題を見いだし改善につなげていくことがあります。例えば、女性管理職の登用に納得感が得られない場合、その背景には人材育成や人事評価のプロセスに改善の余地があるのかもしれません。また育休中の同僚をサポートする中で負担が大きく感じられるのは、その労力を十分に評価する制度が不足しているのかもしれません。従業員が抱く不満の奥には、組織をより良くするためのヒントが隠されています。その課題に向き合い、改善に取り組む企業の姿勢こそが、従業員の信頼やモチベーションを高める原動力になります。とはいえ不満も十人十色。従業員さんの不満についてお困りの事がありましたら、いつでもご相談ください。